富山市議会議員の辞職が止まるところを知らない。この1ヶ月の間に定員40名のうち11名が辞職となった。
辞職理由は一昨年国中を笑いの渦に巻き込んだ兵庫県の号泣男と同様、政務活動費の不正受給。その手口たるや、号泣男と同じカラ出張のほか、カラ講演会、御茶代の水増し、買ってもいない事務機器のカラ申告など。
具体的には領収証に一桁数字を書き加えたるような幼稚なものから、全く架空の領収書を作成したり、業者に白紙の領収書を要求し、好き放題に数字を記入するなど様々。いずれにせよ、有印文書偽造であり、刑事罰に相当する重大な犯罪だ。ばれたから議員辞職すれば済むという代物ではない。富山市民には是非とも刑事告発していただきたい。
政務活動費の不正受給は富山市議会に限った問題ではないと思う。今回これだけ多数の不正が明るみに出たのは、地元チューリプテレビの頑張りによるところが大きい。
非協力的な富山市議会事務局や富山市教育委員会などの取材妨害にもめげず粘り強く取材を続けて、動かぬ証拠を入手したお手柄による。
政務活動費は議員たちの間では「第二の給料」と呼ばれていると聞く。各自治体でチューリップテレビのような努力をする人々が出てくれば、おそらく全国すべての地方議会で辞職者が続出するだろう。
場所が代わって東京都。築地市場の豊洲移転に関しては、日替わりで新しい疑惑が出てくる。小池新都知事の決断で11月の引っ越しが延期となり、これまでの経緯に対する検証が行われている。
今さらながら週刊文春のお手柄に感心する。もし週刊文春による舛添の公私混同が明るみに出ていなければ、11月には舛添が蔓延の笑みを浮かべて豊洲でテープカットをすることになっただろう。むろん、建物の下の地下空間やその空間に漏れ出る地下水の存在など我々消費者に知らされることのないままに。そして、安全性が確保されないままに鮮魚や青果の取引、加工がなされるはずだった。
こうなってみると、舛添の吝嗇が過ぎたことが幸いしたとも言える。
それにしても、現段階での調査結果では、誰がいつ学識経験者の取りまとめた盛り土と言う提言を覆して、地下空間設置の決定をしたのか不明だと言う。ごく常識的に考えて、これほど重大な決定が誰ともなし、いつとはなしに決められることなんてあり得るだろうか。国民を馬鹿にするのもいい加減にしろ。
今は、東京オリンピックの膨れ上がる予算や豊洲新市場の建設にまつわる不明朗な意思決定については東京都の体質が取りざたされているが、「知事は誰でもいい。東京は事務と議会で動いている。」と豪語していた都議会議員の裏での暗躍が深く関与していたであろうことは想像に難くない。
私の知っているとある大先生。国立大学を卒業して、国立大学の教授をしていた。その方が、業者の持ってきた領収書を見てお怒りになった。「日付と但し書きを空欄にしておかないなんて、本当にあの会社は非常識だ。」と。
税金での生活が長い方々にとっての常識と、一般民間人にとっての常識とのあまりの乖離に唖然とした思いでがある。
全国各地の行政と議会の不祥事はこれからも続々と暴露されていくだろう。悪行はすでに日常茶飯事、日常化しているということだ。
衍曼流爛。嘆かわしい限りだ。
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衍曼流爛:悪が多くはびこり広がることを言う。「史記」司馬相序伝による。