投稿日:2007年3月26日|カテゴリ:コラム

いったん寝付いても朝まで睡眠が持続できないで、夜中に目が覚めることを中途覚醒と言いますが、寝る直前に水分をたくさん摂れば、排尿のために目が覚めることは不自然ではありません。

お漏らしという緊急事態を回避するために膀胱の緊迫した状態を脳がキャッチして、覚醒を促す生理的な現象です。しかし、いくら寝しなに水分をとったとしてもいったん排尿すれば、もう一度ベッドに戻れば、大抵は朝まで眠れるはずです。

睡眠の途中に2回以上目が覚めるものを中途覚醒型の睡眠障害と言います。途中で目が覚めても、すぐにまた眠れる人もいれば、なかなか次の眠りに入れない人もいます。

このタイプの不眠は睡眠覚醒のリズムを生み出す脳の仕組みそのものの不調が原因でおきる場合のほか、実にさまざまな原因でおきます。例えば、種々の病気に起因する身体のあちこちの痛み、喘息などによる呼吸困難や咳、消化器系の病気による腹痛、前立腺肥大症によって高頻度に起こる夜間の頻尿などです。

また、睡眠薬代わりに寝酒する人は少なくありませんが、少量のアルコールという薬物は寝つきをよくしますが、大量に長期にわたってアルコールを睡眠薬の変わりに飲み続けているとREM睡眠と深いNREM睡眠を減らしてしまうために、浅い睡眠ばかりになってしまい、しばしば中途覚醒を起こします。

以上のような外からの要因で起きてくる中途覚醒はその原因である病気を治療したり、原因となっている薬物を避ければよいのですが、この型の睡眠障害は睡眠・覚醒をつかさどる脳の機構の本格的な失調の表現であることが多いのです。

中途覚醒方の不眠は単独に起こるばかりでなく、前に述べた入眠障害と組み合わさっていろいろな精神的な病気の部分症状としてしばしば見られる症状で、寝つきが悪いだけの入眠障害と違って、必ず専門医に診てもらいましょう。

精神的な病気の部分症状ではないものの中に、最近注目を浴びているものは睡眠時無呼吸症候群(SAS)があります。この病気は睡眠中に10秒以上にわたって呼吸が止まる(無呼吸)の状態が1時間に5回以上みられる場合に診断されます。

すなわち、深い睡眠に入ろうとすると呼吸が止まってしまうために息苦しくなって目が覚めてしまうために、一晩中深い睡眠に入れなくなります。したがって、全体として一晩に6~7時間眠ったとしても常にうとうとしたような浅い睡眠でしかないために、昼間に眠気がさしてうとうと居眠りばかりして、上司に叱責されるという事態に陥ってしまいます。

睡眠時無呼吸症候群は本人が息苦しさを翌日に覚えていないために、自覚的には昼間の眠気だけしかないことが少なくありません。もっとたくさん寝ようと早くからベッドに入る努力をしても、睡眠の質が不良なためにいくら長時間寝ても昼間の眠気は改善されません。

幸なことにベッドを一緒にしてくれるパートナーがいれば、ひどいいびきや呼吸が長時間停止することに気付いてくれるために、早期にされることになります。

意外と知られていないが決して少なくない中途覚醒型の不眠に周期性四肢運動障害(PLMD)という病気があります。この病気はSASと同様に、深い眠りに入ろうとすると周期的に反復する瞬間的に現れる手足、特に下肢の運動です。

つまり、まどろみから深い睡眠に移行しようとすると足がピクンと動いてしまうのです。このために深い睡眠に入れずにSASと同様に昼間の眠気となって現れます。本人が余り自覚しないで、パートナーによって気付かれることもSASと似ています。原因は良く分かっていませんが、治療薬はあります。

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