去る4月14日午後9時26分、熊本県熊本地方でマグニチュード6.5の地震が発生。益城町で震度7を記録した。その後、一定期間余震が続いて収束すると思われていた矢先の16日1時25分にマグニチュード7.3の地震に襲われた。
結局、最初の地震は本震ではなく前震だったのだ。
その後今現在に至るまで震度6~4クラスの余震が頻繁に続いて、いつ収束するか分からない状況だ。5月5日までの震度1以上の地震回数はなんと1200回を超えている。
地震のエネルギーは東日本大地震にはるかに及ばないものの、今述べた通り、頻繁でかつ長期間にわたる余震が続くことと震源が浅いことによって、甚大な被害をもたらしている。
実は、熊本地震は熊本や大分の人たちだけの問題ではない。日本全体にとって不吉な前兆化もしれないのだ。なぜならば、この地震の震源が関東以西の日本列島を縦断する大断層、中央構造線上に位置するからだ。
中央構造線は鹿児島県川内市沖から熊本、阿蘇を通って臼杵、佐賀関を抜 ける、四国では豊予海峡から佐多岬に上がり、徳島市を通って瀬戸内海を渡り紀伊半島を横断。その後中部地方では伊勢湾から上陸して渥美半島、三河湾に入り豊川から天竜川に沿って北上して諏訪湖に達する。ここからは東に方向を転換して群馬県下仁田、埼玉県岩槻を通って筑波山を横断し鹿島灘に没する。そして、その延長線上はまさに東日本大震災の震源地にあたる。
この大断層は人工衛星はおろか、飛行機からもはっきりと見とれるほどの、日本列島の大きな傷跡だ。
小松左京の「日本沈没」ではないが、この中央構造線とフォッサマグナが大崩落すれば日本列島はまさに崩壊する、この島国のアキレス腱とも言える。
こういえばお分かりだろうが、今回の九州での地震群は5年前の東北地方で起きた大地震と無関係とはいえないと思う。地震学者はどういうわけか、この点について余り語らないが、2011年の東日本大地震によって、日本のアキレス腱である中央構造線にひずみが生じて起きたと考えるのが自然ではないだろうか。今や日本列島の地下は大活動期に入ったと思われる。
今回の一連の出来事に酷似した現象が実は9世紀頃にも起きている。西暦869年(貞観11年)陸奥沖海溝に震源を持つ大地震が発生。それからおよそ1か月半後に肥後国(現在の熊本県)で大地震が起きている。
9世紀から1200年たった現在、我が日本列島の地殻は再び極めて不安定な時期を迎えたと考えられる。
そのことを示唆するように、熊本地震以降、中央構造線に沿った地点で中小の地震が発生している。もはや日本に安全な場所はないと考えた方が良いのではないか。
熊本地震ではさらに怖い事実が明らかになった、新しい耐震基準に合格した家屋が倒壊したのだ。この事実は耐震性が十分に高くて1回の大地震には耐えられたとしても、度重なる強い揺れには耐えられない場合があることを意味している。さらに建物自体は揺れに耐えても、それを支えている地盤その物が崩れてしまえばどんな頑丈な建造物も崩壊する。
そんな大自然の圧倒的な脅威とそれに対する人知の無力さを目のあたりにしてもなお、安倍政権は原子力発電に固執している。なんと中央構造線近くの川内原発まで再開させているのだ。
頭にあるのは目の前の経済的損得勘定だけなのだろうが、不毛の国土と流浪の国民を増やして何が経済だ、何が美しい国日本だ。
後世に亡国の宰相として名前を残さぬよう、一刻も早く全原子力発電所の廃炉を命じることを再度忠告する。